QJKJQの話
第62回江戸川乱歩賞受賞作、佐藤究(きわむ)さんのQJKJQの装幀の話。
どん!まず帯から。
正直なところ「天才が現れた!」という手垢のついた謳い文句はそれほど響かず、その横の「私の家族は全員、猟奇殺人鬼。」にわたしの目は釘付けに…。
まっさきにHUNTER×HUNTERのゾルディック家を思い浮かる漫画脳。
(しかしあながちイメージ的には間違ってはいないはず…。)
審査員たちが絶賛するとおり文章が洒脱で洗練されており、時折わたしたちを試すような、教養を以てして初めて理解できるような難解な部分が垣間見えたりする。腐らずがんばって読みすすめる。だってとってもおもしろいから。続きが気になるから。
「家族全員殺人鬼」は、著者がもっとも書きたいテーマを展開するための設定に過ぎないという点がまたカッケーです
いくらトリッキーでも、その設定ありきで展開できる結末がちゃんと用意してあって、一筋縄ではいかない感じもこちらの好奇心や読書欲を刺激してくる。
肝心の装幀は川名潤さんが手掛けている様子。や、やはり。かっこいいわけだ…
川名さんが手掛けるデザインの好きなところは文字組と、表1を画面としたときの「枠」「縁」。オシャ&シビー(渋い)!
この挿画、いちおうクレジットはついているのだが、ちょっとよく分からなかったので割愛…。
でも物語の根本にある「小説が妄想や想像で、現実が本当の世界」という周知の事実をぐるんとめくりあげる感じ、現実と妄想は表裏一体、的なメッセージ性がまさに表現されている。かっこいいだけじゃない…。
昔、江戸川乱歩賞受賞作は映像化されるという特典があった気がするけど最近どうなっているんだろう。
日本人じゃなくて欧米人のキャストで製作したらすごくいい感じになりそうだと思うんだけどな。
これは見たい。これなら見たい。作ってください。どなたか。